ジーンズの裾上げ、する?しない?ジーンズの裾上げ完全ガイド
ジーンズを購入した際、多くの方が直面するのが「裾上げ」の問題です。
ファッションの多様性や個々のスタイルに合わせて、裾上げをするべきかどうか、どのような方法で行うべきか悩むことが多いでしょう。

本記事では、50年以上にわたりジーンズを手がけるBOBSONが、女性のジーンズの裾上げに関するポイントや注意点を詳しく解説します。
ジーンズの裾上げをしないってアリ?なし?
ジーンズの裾上げはしなくていいのか?するべきなのか?
これはジーンズの元の長さや、履く人の好みによって変わってきます。
裾上げしなくてもいい場合
・日本製のデニムでそもそもそれほど長くない
日本製のデニムだと、日本人が履くことを見越して縫製されているものもあります。
ジャストサイズで履けたり、長すぎたりしなければ、裾上げの必要はありません。
・ロールアップするためにあえてしない
また必ずロールアップをして履く場合も、裾上げは必要ありません。
なかには、あえてロールアップすることを前提としたデザインのジーンズもあります。

裾上げをすべき場合
・ロールアップしたくない
ロールアップはしたくないという場合は裾上げが必要です。
靴のかかとに少しかかるくらいが一般的な裾上げですが、ジーンズのデザインや自分の好みに適した長さに裾上げしていきましょう。
・股下が長い海外デニム
日本製とは違い海外製のデニムは、股下が長すぎることがあります。
日本と海外ではスタイルが違うため、日本人に合う長さに裾上げをして、キレイに履きましょう。

・二折り以上しないとちょうどいい丈にならない
ロールアップすればOKとはいっても、限度があります。
ロールアップは二つ折り以上してしまうと、かさばって見えてしまうため、不恰好になってしまいます。
二つ折り以上ロールアップをしなければ履けない場合は、せめて一折りで済む長さにしておきましょう。
裾上げしなくてもいい場合、裾上げすべき場合と両方紹介しましたが、長さが中途半端な時は、裾上げはすることをおすすめします。
そのままで履いてちょうどいいキレイなシルエットに。
トップスの服に合わせて一折し、くるぶしぐらいの丈にすると、アレンジの幅が広がります。
靴下を見せたり、足首を出したりすることで季節感も演出でき、1本でいろんなコーディネートが楽しめます。

ジーンズを裾上げするとき、ベストな長さは?
ジーンズを裾上げするとなったとき、履く靴や裾幅によって長さが変わってきます。
ズボンの裾が足の甲に乗り、たわみができることを「クッション」と呼び、この加減が重要です。
ノークッション、ハーフクッション、ワンクッションなどがあり、パンツのシルエットや合わせる靴によって相性の良い丈感が異なります。
【裾上げのクッションの種類】
●ノークッション:裾が靴の甲に当たらない丈感。一切シワができない状態。
●ハーフクッション:裾が靴の甲にスレスレで乗るくらいの丈感。少しシワができるくらいの状態。
●ワンクッション:裾が靴の甲にしっかりと当たって折り目が一つできる丈感。
●ツークッション:裾が靴の甲にしっかり乗り、2回ほどシワができる丈感。
今回は、代表的なデザイン、スキニー・ストレート・ワイドの適切な長さをご紹介します。
スキニージーンズ

ぴったりフィットするスキニーパンツの場合は、短めのノークッションかハーフクッションがおすすめです。
ジーンズをピンと伸ばしてシワができずに足の甲に乗るぐらいの丈が脚のラインをきれいに見せてくれます。
ストレートジーンズ

裾幅が少し広めになるストレートデニムは、キレイに着こなすならワンクッション、ゆるくカジュアルな着方が好きな方はツークッションがおすすめです。
Tシャツでラフに、シャツやジャケットでキレイめにも着こなせる万能アイテムです。
ワイドジーンズ

ゆったりとしたシルエットを活かすため、ツークッションがおすすめです。
脚のラインを隠してくれるので、リラックス感がありながら、こなれた雰囲気
が演出できます。
ヒールのある靴

女性がヒールのある靴に合わせて履く場合、ヒールの根元あたりに合わせるとバランスがよくなります。
パンプス、ミュール、サンダル、ブーツなど、色々ありますが、合わせるものにより同じジーンズでも雰囲気を変えることができます。
ヒールサンダルを合わせて大人っぽいリラックススタイルに、ブーツを合わせてモードな雰囲気にと四季を通して楽しめます。
ジーンズの裾上げは、お店に持ち込む?自分で直せる?
裾上げは、お店に依頼するか自分で直すかという二つの選択肢があります。
裾上げを自分でやる方法
裾上げ代を節約したい、お店に持って行く時間がないから自分でやりたい、という時もあるかと思います。
ミシンをお持ちなら三つ折りにして縫えば裾上げ完了ですが、ジーンズは三つ折りするとかなり厚みが出ます。
そんな時は、トンカチなどで叩いて分厚い部分を叩いて(お直し屋もやる方法です)、厚みをできるだけ抑えてから縫いましょう。
ミシンの故障を防ぐため、ミシンや針がジーンズの厚みに対応しているか事前に確認をしましょう。
裾上げテープやボンドなども販売されていますが、ジーンズの裾上げには適していないので使用しないことをおすすめします。
お直し屋に持ち込む場合
「洋服 お直し」「洋服 リフォーム」などと検索すると、お住まいの地域で洋服のお直し屋が見つかります。
もし持ち込みやすい場所にお直し屋がない場合、郵送して請けてくれるお店もあります。
詰める丈の長さを自分で確認したうえで郵送し、代金を(振り込みなどで)支払い、返送してもらえます。
ジーンズを購入したお店や、お直し専門店に裾上げを依頼することも一つの方法です。
プロの技術で仕上げてもらえるため、安心感があります。特に、ヴィンテージジーンズなど、こだわりのある一着の場合は、専門店に相談すると良いでしょう。

裾上げの注意点
●洗濯後の縮み:初めての洗濯はジーンズが縮むので、洗濯後に裾上げを行うと安心です。
●左右の長さの違い:骨格のゆがみにより、脚の長さが左右で微妙に異なる場合があります。
裾上げの際には、両足の長さを確認し、調整すると良いでしょう。
●ピン打ち:自分でピンを留めるとしゃがむため短くなりがちです。
他の人に手伝ってもらうか、専門店での調整をおすすめします。
●裾のデザイン:特殊なデザインや加工が施された裾の場合は裾上げの料金が上乗せされることがあります。
事前に確認しておきましょう。
●大幅な丈の詰め:大幅に丈を詰める場合、シルエットやバランスが変わることがあります。
幅調整も必要になる場合があるため、専門家に相談すると安心です。
裾上げの方法とステッチの種類

裾上げの方法やステッチの種類によって、仕上がりや耐久性が変わります。
縫い方によって見栄えや強度が異なるので、理解したうえで自分に合った方法を選びましょう。
タタキ(シングルステッチ)
裾をカットしたら三つ折りにしてまっすぐ縫う、最も一般的で手軽な方法です。
シンプルな仕上がりで、すっきりした印象を与えます。
価格も安価であることが多く、カジュアルからキレイめまで幅広く使えます。
チェーンステッチ
表の縫い目はシングルステッチと同じですが、裏はチェーン状になっているのがチェーンステッチ。
チェーンステッチで縫うことで裾にアタリ(うねりのようなもの)が出ます。
ここに色落ちが加わると、独特の斜めにうねった色落ち(パッカリング)が生まれるため、ジーンズ愛好家に好まれる方法です。
タタキで縫うと裾がパツンと、いかにも裾上げした感が出てしまうのですが、アタリが出ることでそれが軽減され、なじみがよいです。
ジーンズ愛好家に好まれる縫い方ですが、難点はほどけやすいこと。
一目切れてしまうと、スルスルっとあっという間に全部ほどけてしまいます…。
ロックステッチ
カットした裾の端をロックミシンで処理し、その上にステッチをかける方法です。
表の見た目はタタキと変わりありません。
裾に三つ折りするほどの余裕がないときに使う方法です。
ほつれにくいのが特徴で、「裾を軽くしたい」というこだわりがある方も、ロックステッチを選ばれます。
ダブルステッチ
シングルステッチで縫った後、その縫い目から5mm程度のところをもう一周縫うダブルステッチ。
表裏にステッチが2本入ります。
元々のデザインがダブルステッチだと、裾上げをして同じように仕上げてほしい方がこの縫い方を指定されます。
裾残し
裾にデザインやダメージ加工、ユーズド加工、色落ちなどがあり、切って無くしたくないときにする手法です。
オリジナルの裾部分を切り取り、裾上げ後の裾に再び縫い付けます。
そんなときは裾のダメージを残して裾上げする方法があります。
お店によって呼び方が違いますが、裾残し、はさみ込みなどと呼ばれることが多いです。
裾残しとはさみ込みで縫い方が微妙に異なる店もあるので、事前に確認してからオーダーをしましょう。
ジーンズの裾上げの料金相場は?
縫製の方法が決まれば、お会計です。
縫い方によって、またお店や地域によって料金は前後しますが、おおよその値段は以下の通りです。
縫製方法 |
料金 |
タタキ(シングルステッチ) |
1,000円前後 |
チェーンステッチ |
2,000円前後 |
ロックステッチ |
1,500円前後 |
ダブルステッチ |
1,300円前後 |
はさみ込み(裾残し) |
4,000円前後 |
上記の金額プラス、裾のデザインが凝ったものの場合は料金が上乗せになります。
裾上げであなたピッタリの1本に

ジーンズの裾上げは、見た目や履き心地を左右する重要な工程です。
どの方法を選ぶかは、自分のジーンズのスタイルや履き方次第。
シンプルで一般的なシングルステッチも良いですが、経年変化を楽しみたいならチェーンステッチがベストです。
自分に合った裾上げ方法を選び、長く愛用できるデニムライフを楽みましょう。