フレアジーンズの歴史の歩み
静かに広がる、裾のかたち。
フレアジーンズは、単なるデザインの選択肢ではなく、文化の一端であり、歴史を映すひとつの表現です。
フレアジーンズの歴史は、ファッションの変遷だけでは語れません。人々の価値観、社会の動き、身体の動き、技術の進化。あらゆる要素が複雑に交差し、裾が少しずつ、静かに、広がっていきました。
この記事では、そんなフレアジーンズの歴史を辿ってみたいと思います。

機能としての裾の広がり
フレアジーンズの原型は、19世紀のアメリカ海軍にさかのぼります。水兵たちが着用していたベルボトム型の作業ズボンは、膝下から裾が広がっていました。
理由は実用性。裾が広がっていることで、濡れた状態でも素早く脱ぎやすく、また、まくり上げることで濡れた甲板でも作業がしやすかったとされています。
このシルエットは、軍装から民間へと移行し、作業着からファッションへと少しずつ変化していきます。
裾の広がりは、最初から美的なものではありませんでした。必要に応じて設計された形状が、時代を経て意味を変えていく。それは、衣服が持つ性質のひとつとも言えるのです。
1960年代後半〜1970年代
フレアジーンズがファッションの主流へと躍り出るのは、1960年代後半から1970年代にかけてのこと。ヒッピー文化の中で、ベルボトムは自由の象徴として定着しました。
若者たちは、制服や管理社会への反発を、服装で表現した。膝から広がるジーンズ、長髪、民族風の柄や装飾。どれもが規範に対する個の主張でした。
フレアジーンズは当時、個人が量産服を自分仕様に作り替える土台でもありました。刺繍、パッチワーク、絵柄、染め。大量生産されたデニムに、手を加えることで“自分の一着”に変える。それは自由の形であり、創造性のはじまりでした。

一時下火に…:1980年代
1980年代に入ると、フレアジーンズは一線を退きます。ストレートやスリムといった直線的でタイトなシルエットが主流となりました。
背景には、ディスコやパンク、ビジネスライクなスタイルの広がりがあり、デニムはより実用的で、都会的な方向へとデザインを変化させていきました。
裾の広がりは、時代の速度感や求められる機能性とは合わなくなっていました。フレアは過去のものとされ、次第に見かける機会は減少していきます。
しかし完全に消滅したわけではありませんでした。特に音楽の世界、とくにハードロックやメタルのジャンルでは、ベルボトムは象徴的に生き残りました。舞台で動き、光を受けて揺れる裾は、演出の一部であり、表現の延長線上にあったのです。
リバイバル:2000年代〜2020年代
2000年代に入り、フレアジーンズは再び注目を集めます。いわゆるY2Kファッションの文脈で、ローライズやミッドライズのボトムスとともに、フレアのシルエットが流行しました。
当時のトレンドは、セレブリティやメディアの影響が強く、パリス・ヒルトン、ブリトニー・スピアーズ、ジェニファー・アニストンらが、フレアジーンズを着こなす姿が雑誌やテレビで頻繁に取り上げられました。
2020年代には、再びヴィンテージやサステナブルといった文脈で、旧型のフレアジーンズが再評価されており、大量消費よりも“良いものを長く使う”という価値観が広まりつつある中で、しっかり作られたフレアの需要が生まれていきます。

裾の広がりのつくり
フレアジーンズは、構造的に言えば膝の絞りと裾の展開によって成り立っています。膝の位置、絞りの角度、裾幅の数値。それぞれが絶妙に設計されなければ、美しいフレアは生まれません。
このシルエットは、縫製にも高い精度を要求します。とくに膝から裾へのラインは、ミシンの送りと人間の感覚の両方でコントロールされます。
フレアジーンズは動きに合わせて表情を変えていきます。立っている時、歩いている時、風に吹かれている時。それぞれの瞬間に、揺れやシルエットが変化する。その変化を計算に入れた設計が、良い一本を生むのです。
音楽との親和
フレアジーンズの裾には、常に何かが宿っています。それは、時代であり、思想であり、動きそのものです。
まっすぐに落ちるストレートよりも、細身のスキニーよりも、フレアは空間を使います。空気を含み、動きに反応する。静止していても、どこか“動き”を感じさせます。
だからこそ、音楽と親和性があり、映像で映える。ファッションとしての自己表現と、身体性を同時に引き出す数少ないシルエットのひとつでもあるのです。

広がり続けるジーンズの可能性
フレアジーンズは、過去に生まれ、何度も消えては現れてきました。だが、そのたびに違う意味を帯び、違う層に受け入れられています。
裾の広がりは、単なる装飾ではなく、時代の表情です。実用のために広がった布が、自由の象徴になり、自己表現の道具になり、再び手仕事の対象として見直されています。
そして今また、誰かがそれを履いて、新しい歩みを始めていく。広がる裾が、未来に向けて何かを告げる。
ジーンズという道具は、変わりません。しかしその形は、いつも静かに、動き続けているのです。
1970年代の美学と現代技術が融合した、BOBSONのフレアジーンズ
岡山デニムの技術を活かし、1970年代のシルエットを現代の技術と融合しました。
何度もサンプルを作り直し、育てる楽しさが詰まった、長く付き合えるデニムです。
生地は12.5オンス。
1990年代の表情を忠実に再現しつつ、ほんの少しだけストレッチを加えて、履き心地も抜群に。履くほどに味が出て、体になじんでいきます。
バックポケットの位置にも工夫をしており、視覚的な足長効果を狙って、細かく計算されています。BOBSONのフレアジーンズは、ジャストサイズ設計が特長です。
インディゴの染めは、岡山の職人が丁寧に手がけたもの。色落ちや経年変化も楽しめるよう、生地加工やパターンも工夫されています。
ジーンズオーナーの人生に、長く寄り添える一本。使い込むほどに、あなただけの表情が浮かび上がります。
ヴィンテージの風合いと現代の快適さを兼ね備えたBOBSONのフレアジーンズ、ぜひ一度その履き心地と表情の変化を体感してみてください。
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